交通事故後の怪我の示談と示談交渉について

交通事故後の怪我の示談と示談交渉について

交通事故で負傷した時、被害者は損害を加害者が加入している保険で補償してもらいます。その補償額を双方が競技し納得の上で最終的に決めるのが示談です。示談は口約束ではなくかならず書面で行なうのが一般的です。

交通事故後の怪我の示談交渉は誰がする？

実際に誰が交通事故後の怪我の示談交渉を進めるかは、次の二つのパターンです。

１．お互いが加入している損害保険会社同士が本人に代わって交渉。

２．被害者本人と加害者が加入している損害保険会社が交渉。

ほとんどの自動車の保険には「示談代行サービス」がついているので、示談交渉は保険会社が代行します。加害者側の保険会社から被害者に直接話がきても、被害者が加入している保険会社に相談できます。

過失割合が１０対０の事故は、被害者が加入している保険会社は示談に介入できません。その保険会社は賠償しなくてよいので、事故には関係ない第三者とみなされ、示談交渉に介入すると弁護士法違反になります。

赤信号で停車しているときに追突されたなど10対0の事故は、被害者本人が加害者側の保険会社と交通事故後の示談交渉することになります。被害者は自分に不利だと思うときは、交通事故の紛争処理機関に調停を申請したり、弁護士を代理人にたてて保険会社と交渉できます。

交通事故後の怪我の示談交渉はいつする？

物損事故や死亡事故はなるべく早く示談交渉をはじめるべきですが、傷害事故は事情が変わります。ケガをした被害者がまず押さえておくことは、

・ケガが完治するまでは示談書に判を押してはいけない。

・後遺障害が残る可能性のあるときは、後遺障害等級の認定が終わるまで判を押してはいけない。

ということです。

交通事故後の怪我の示談は確定した損害の賠償額を決めるものです。怪我が完治する前や後遺障害の認定が終わる前に交通事故の怪我の示談書に捺印してしまうと、治療が長びいたり、思いがけない後遺障害が現れても補償を受けることができません。いちど決めた示談の内容を変えることはで来ません。

加害者側の保険会社はなるべく早く示談を成立させます、言いなりになる必要はありません。とくに加害者がその事故の刑法上の罪を問われているときは、示談を急ぐことがあります。示談の成立が情状酌量の理由になります。

被害者も示談が成立すれば一件落着でつらい経験にもケリがつくという気持ちがあるので、早く示談にしてしまうことがあります。しかし、すべての治療が終わる前に示談にすると、その後の治療の費用はいくらかかろうが自己負担になります。

後遺障害が認定されるかどうかは示談金に影響します。示談後に後遺障害が認定されても、いちど決めた示談金は増額できません。示談成立の時点で予測できない障害が示談成立後に明らかになった場合、示談後でも賠償請求できるという最高裁の判例がありますが、これは重い精神障害などの場合で、むち打ち症に適用されることはほとんどありません。