交通事故後の怪我の示談と示談交渉について（後遺症について）②

交通事故後の怪我の示談と示談交渉について（後遺症について）②

示談の時効は2年です。必要なら延期も可能。

交通事故の示談の時効は自賠責保険の場合で2年となります。急ぐ必要はありませんが、治療が長くかかる場合は注意が必要です。ですが必要があれば時効を延期することも可能です。民法の賠償請求の時効は3年となります。

時効の日数の計算はつぎのとおり。

・ケガの賠償の時効は事故の翌日から数えて2年

・後遺障害の時効は「症状固定日」から数えて2年

症状固定日というのは、治療を継続しても症状が改善されないと診断された日、つまり後遺障害が残ると診断された日となります。

加害者あるいは加害者が加入している保険会社が治療費を払っている場合は、その支払った日から改めて2年の時効がスタートです。実際に支払われていなくても、加害者から「かかった治療費は支払います」などの文面の念書をとっておけば、そこから時効が再スタートとなります。

中断する場合は、保険会社に「時効中断申請書」を提出することでも時効は中断できます。

交通事故の示談までの流れ

怪我が終わって被害者が事故以前の生活ができるようになった時点で示談交渉が開始です。その時点で被害者の損害が確定したと考えられます。後遺障害がある場合は症状固定(治療しても治る見込みのない症状と医師が判定した状態)の後に示談になります。

多いケースですと、事故後３ケ月目くらいに、加害者が加入している保険会社から「そろそろ示談に」という申し入れがあります。示談交渉では示談の金額や内訳も保険会社から提示されることが多いです。

その内容に間違いや漏れた項目がなく、被害者が納得した場合は示談書に署名、捺印して示談が成立します。

事故のケガによる経済的損害と精神的損害を合わせたものが示談金です。経済的損失には治療にかかわる費用と主婦の家事も含めた休業による損失があります。精神的損失は慰謝料として金額を決めます。※補償内容は「自賠責保険と任意保険」のページをご参照ください。

治療費などは示談前に保険会社が立て替えている部分があるので、その分は示談金の支払から差し引かれます。慰謝料は示談が成立してから支払が行われます。

ケガの自賠責保険の賠償限度額は１２０万円です。治療費・休業補償・慰謝料を合計した額がそれ以内なら保険会社の費用負担はありません。したがって保険会社はできれば慰謝料をその範囲に収めるか、それが無理ならできるだけオーバーする額を小さくしたいという気持ちは少なからずありますよね。

しかし被害者が過剰にその動機を疑って被害者意識をふくらませると、そのストレスで事故の精神的被害をさらに拡大することがあります。示談金に不満というだけではなく、そのどの項目に不満なのか、その不満が正当なものかを冷静に検討できることが大切です。不満と妥当性を確認できるのが専門家に相談することです。当院では専門家への相談もアドバイスさせていただきます。

示談の前には自分である程度交通事故の賠償について知識を得ることも必要です。本来不満をもって当然なことを見逃さないためにも、理由のない不満をもたないためにも役立ち精神的な苦痛を和らげます。もちろん示談の額を提示された後でも遅くありません。基本的なことだけでも知っておくと、何も知らないよりはずっと冷静になれます。